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試写会ブログ『園子温という生きもの』

March 9, 2016 12:50

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試写会ブログ『園子温という生きもの』

昨日は、 5月14日(土)新宿シネマカリテにてロードショーが決定した園子温のドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』 の試写会に行ってきた。

園子温。

その名前が轟き出したのはいつ頃からなのだろう?

『地獄でなぜ悪い』
『ラブ&ピース』
『新宿スワン』
『リアル鬼ごっこ』
『みんな!エスパーだよ!」TVシリーズ+映画 などなど

別段映画に詳しくない人でも、タイトルを聞けば「あぁ、知ってる!」と声をあげるだろう。正直言うと、筆者もそのひとりだ。

数々の受賞歴を持ち、RevolutionQというバンドでヴォーカルを務め、自ら筆をとり個展を開き、渋谷ハチ公の横にレプリカのハチ公とハチ公のいない台座(ハチ公は福島の避難区域に設置)を置くハプニングアートを行い警察に事情聴取され、3.11の震災を忘れない。そして妻である神楽坂恵に通風を心配される。小学校時代、映画館やテレビを通じて観た様々な映画を、出演者、監督、スタッフに至るまでメモし、感想もびっしりとノートに書き出していた園。奇才と呼ばれる片鱗に、試写室で思わず「おぉ!」と声を出しそうになった(笑)。

彼の行動や言動、目の奥に潜む破壊性と常識性をドキュメンタリー映画としてフィルムに収めたのは、大島新。彼はTV『情熱大陸〜奇才、毒舌、破廉恥、社会派…さまざまな異名を持つ映画監督・園子温の制作哲学のい迫る!』で演出をしていた。しかし、さまざまな異名は放送の中だけでは収まらなく、この番組が放送された2014年、映画『園子温という生きもの』として9月から撮影を開始した。

映画の中で園は、下北沢のアトリエでビールを飲みながら呂律も怪しい状態で、手にべったりとつけた絵の具を高いキャンバスに塗りたくったり、作品を投げ飛ばしたりしていた。破壊的かつ心のままに描かれた作品たちは、例えばロックンローラーが革ジャンにリーゼントのイメージがあるように、例えば健康思考の高いオシャレ女子がキヌヤや海外セレブを崇拝するイメージがあるように、ひとつの“ルール”や “カテゴリー”のようなものを感じた。いや、ルールというより、共感性が在るからこそ必然的に“そこ”へ辿り着くのだろう。つまりはそれが“生きている”ということ。もし園氏がこのブログを目に(することはないだろうが)したら、「こいつは何も分かっちゃいない。そういうことじゃないんだよ。」と煙草をプカプカ吸いながら冷笑するかもしれない。でも「感じる」ことは自由だ。私はそう感じだのだ。

…と、こんな面倒臭い言い回しをしている自分が可笑しくなるが、結局のところ映画を通じて“園子温”という生きものが気になり、映画の持つクリエイティビティに感化されているのだろう。

話を映画に戻す。

映画『園子温という生きもの』と同日、園子温監督作品『ひそひそ星』も公開される。この作品は1990年、園が28歳の時にシナリオを執筆。映画化に向けて動き出していたが当時は実現は出来ず、構想25年にしてようやく完成。同作品は昨年「第16回東京フィルメックス」でオープニング上映されたので既に観た人もいると思うが、『園子温という生きもの』では勿論その裏側も映し出している。その他2012年公開の『ヒズミ』に出演した染谷将太や二階堂ふみ、妻であり園の映画でも多数出演している女優・神楽坂恵をはじめ、彼に色濃く携わった人々も登場。特に神楽坂はあることで泣いてしまうのだが、ポツンと残された椅子や、控え室での彼女の鏡の汚れはリアルこの上ない。(個人的には園が「社会性がない。」と笑う彼の妹にとても惹かれた。)

97分という短い映像で見えるのは、きっと園子温の欠片でしか過ぎないと思うが、少なくとも「生きることを出しおしみするな」という園は十分に感じられるのではないだろうか。

Text:秋山“masayan”昌未

  インフォメーション

『園子温という生きもの』
2016年5月14日(土)新宿シネマカリテにてロードショー


監督:大島新
出演:園子温、染谷将太、二階堂ふみ、田野邉尚人、安岡卓治、エリイ(Chim↑Pom)、神楽坂恵
プロデューサー:小室直子、前田亜紀
撮影:高橋秀典
編集:大川義弘
整音・効果:高木創
音楽プロデュース:菊地智敦
企画・製作:ネツゲン、日活
制作プロダクション:ネツゲン
配給:日活
©2016『園子温という生きもの』 製作委員会(2016/日本/カラー/ビスタ/97分)
http://sonosion-ikimono.jp/

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