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映画『森のカフェ』試写会

September 30, 2015 16:00

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映画『森のカフェ』試写会

12月12日よりヒューマントラストシネマ渋谷他にて上映が決定している映画『森のカフェ』のマスコミ試写会に行ってきました。

論文が書けない哲学者“松岡啓志”(管 勇毅)が、森の中で不思議な少女(若井久美子)と出会う。物語はそこから始まり、実に絶妙に松岡や少女、彼らを取り囲む人々へとストーリーを展開させていきます。登場人物やシチュエーションに対して、若干説明不足かなと感じる部分もありましたが、森の景色や鳥の声、松岡の苦悩、少女とのやりとりなど、ある一定のテンションで繰り広げられる世界観は、見終わった後も心地よさを覚えます。それと珈琲!これが何だかとても美味しそう。香りや、口に入れた時の苦みと少しの酸味を脳内がすぐさま思い出し、思わず飲みたくなった(笑)。

監督は「見えないほどの遠くの空を」を手がけた榎本憲男監督。榎本監督はこの映画でスタッフ集めからスタートをしたようで、昨年Togetterでスタッフ&キャストを募集しているのを目にしました。当日いただいたパンフレットのプロダクションノートには、「多くのボランティアスタッフにも助けられました。」と書かれています。

あくまでも悪い意味ではないということを前提に書きますが、画面の質感やカット割り、編集が低予算の映画ならではの生々しさを醸し出していて、それが妙に心に響くというか、落ち着くというか。落ち葉を踏みしめる音や珈琲から立ち上る湯気、ギターの音色など、自分も生で感じているそれと何ら変わらない。つまりリアリティ。

前半は、「ファンタジーへ展開するのかな?」と思っていましたが、きちんとリアル。(いや、ファンタジーを批判しているわけではありません、決して!)本当のリアルって、目に見えることだけじゃないと思うんです。感情やら体調やら状況やら。…と、あまり言うとこのままペラペラとネタばれをしてしまいそうなので、この辺にしておいて。

ストーリーとは別に、個人的なお気に入りポイントをいくつか。

・台詞
資料によると榎本監督は、しっかりした台詞を書いてそれを役者に明瞭に発語してもらうという演出法を土台にしているとのこと。そこには「絵物語として楽しく、そして深くという一粒で二度おいしい映画を目指したい」という想いがあるようです。小説もそうだけど、言葉のチョイスってかなり好みが出るところだと思うんです。でも個人的には榎本監督の生み出す台詞は好きでした。納得いくというか、それじゃなきゃ駄目というか。

・森で出会う少女の表情
森で出会う少女は喜怒哀楽が豊かで、特にダレている時や怒っている時の顔は最高!歌にも注目です。

・松岡啓志の部屋
さほど広くない松岡の部屋。窓からは木々が見えます。紅く色づいた葉や緑のままの葉。最小限の物たちがきちんと整理されていて、映画を観ている最中も「あぁ、この部屋絶対に居心地良い。行きたい!」と思ってしまいました(笑)。

例えばお散歩をするように。
例えばお気に入りの本屋に行くように。
例えば美味しい珈琲で一息つくように。

心地よい75分の空間を味わってはいかがでしょうか?


公開は12月12日(土)から。

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TEXT:秋山昌未


■「森のカフェ」公式サイト
http://morinocafe.com/

  インフォメーション

映画『森のカフェ』
12月、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー


監督・脚本:榎本憲男
出演:管 勇毅 若井久美子 橋本一郎 伊波麻央 ほか
配給:ドゥールー / 2015年 / 日本 / 76分 / CNorio Enomoto

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