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大東まみ、「自分の直感を信じたり、主張したりすることがすごく難しくて。でもそんな自分がダサくて嫌だなと思っていて」EP『交差点』インタビュー

大東まみ、「自分の直感を信じたり、主張したりすることがすごく難しくて。でもそんな自分がダサくて嫌だなと思っていて」EP『交差点』インタビュー

October 8, 2026 17:00

大東まみ

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─ アーティストとして、大きな気づきだったんですね。

本当にそうです。それと、ちっぽけくんは曲を書き進めるスピードがすごく早くて。自分の中に曲の形や方程式のような、思いを曲という形に落とし込むやり方が確立されている感じがしました。それは、ちっぽけくんがこれまでたくさん曲を書いて少しずつ見出してきたものなんだろうなと感じて。自分もいま、闇雲にやっている制作も、ずっと真面目にやり続けていけば、もっと自由に自分の形で曲が書けるようになるのかもしれないと、すごく勇気をもらいました。


─ キャリアとしては、結構先輩ですものね。

そうなんです。7年くらい前にメジャーデビューしているので、レコード会社の方などと一緒に音楽をやってきた年数が私よりずっと長いので、年齢は近いですが大先輩として「かっこいい!すごい!」というリスペクトの気持ちでご一緒させていただきましたし、今回は本当に良いコラボをさせてもらいました。


─ 今回のEPには新曲の「交差点」も収録されています。この6曲を1枚にまとめたことで、見えてきた共通点はありましたか?

今回の6曲は、2年半ほど前に上京してきてから書いた曲の中からリリースしています。上京してからの自分のテーマとして、「いかに取り繕わずに曲を書くか」ということがありました。できるだけ自分が考えていることや、自分では醜いと思うような弱点、ダサい部分を隠さずに曲にすることだけを考えて音楽をやってきたので、どれも自分にとって本当のことが書けた曲たちばかりが集まったと感じています。その結果、すごく怒っているときもあれば、悲しいとき、誰かを愛おしいと思っているときなど、いろんな感情のグラデーションがある曲が集まりました。


─ リリースと並行して、5月から6ヶ月連続のライブシリーズ「交差点」を続けてこられました。毎月コンセプトのあるライブを続けてみて、いかがでしたか?

最初は、これ……やりきれるのかなと思いました。実際本当に大変で(笑)。


─ どのあたりが一番大変でしたか?

なでしこリーグの演奏も並行して回っていたので、シンプルにスケジュールに合わせて頭を切り替えるのが大変でした。しかもその中でレコーディングもしていたので、先の曲を作りつつ、できた曲はレコーディングして、MVも撮ってリリースして、週末はなでしこリーグでスタジアムに行き、それが終わったら「もう今週末はマンスリーライブだ!」というような怒涛の日々でした。毎回ゲストの方をお呼びして、コラボの練習もありましたし。だからやってみると意外と大変だったというのが本音ですが(笑)、でも得たものもすごく多かったです。シンガーソングライターとして活動していると、ほかのミュージシャンと密に関わる機会があまりないので、ゲストをお招きしてコラボする中で、自分とはまったく違う音楽の信念や哲学に触れられたのは大きかったです。自分が守ろうとしているもののちっぽけさに気づくこともあれば、逆に自分はやっぱりこうしていきたいと再確認することもできて、すごく豊かで柔軟になれた時間でした。それに、ワンマンライブを月1回のペースでやる経験もなかったので、ライブの作り方そのものの勉強にもなりました。でも、毎回お客さんが「楽しかったよ」「良かったよ」と言って帰ってくださることが、自信につながりました。


─ 大変だった分、充実度も高かったんですね。

修行でしたね(笑)。私もスタッフ陣も修行でした。


─ 修行(笑)。私は、冨岡愛さんをゲストに迎えたVol.3にお邪魔しましたが、「モナリザ」がすごく印象的でした。SNSに来るアンチコメントに返事を書いてやりましたという「モナリザ」を書いたエピソードが、すごくかっこいいなと思って。これは実際に言われたことがきっかけだったんですか?

そうですね。「アヒル」という曲のライブ映像にMCをつけてInstagramに投稿したところ、すごく再生されて。以前のカヴァー動画のときよりも、自分の考えを話しているオリジナル曲だからこそ、いろんなコメントが届くようになったんです。傷つけるつもりではないコメントだとしても、顔が見えない相手から活字でぽんと投げかけられると、「いや、そういうつもりではなくて、こう思ってるから発信したいんだ」って。なんて言うんだろうな……顔が見えてやりとりしていたらそこまで思い詰めることもないんでしょうけど、当時は、うわぁと思ってしまって。それまでカヴァー動画にしても「最近こういう歌い方の子ばっかりだよね」とか言われることもあったんですが、オリジナル曲や自分の想いに対して何か言われたときに、「これはもう黙っていられない!」と思って曲にしました。


─ 実際に曲を発表してみて、相手に言い返す感覚に近かったですか? それとも、相手の言葉から離れる感覚でしたか?

書き始めは本当に腹が立っていたので、「言い返してやる」というところから始まりました(笑)。でも、途中から馬鹿らしくなってきて。アンチコメントを送ってくる人たちに対して「踊れよ」と言っていたのが、曲の最後には「さあさあ踊ろう」に変わるんです。どうせその人たちも私も100年後には死んでいるんだから、ちっぽけだなと思えてきて。


─ 歌詞の“100年後にはあいつもこいつもどうせ壺の中”がすごく好きです(笑)

それそれ(笑)。だからそんなことを気にせず、自分が好きなように人生を踊った方がいいというふうに、昇華していきました。聴いてくれる人たちに伝えたいメッセージとしても、「言い返せ」ではなくて、「そんな言葉ひとつふたつであなたの輝きは失われないし、何も汚すことはできないんだから、言わせておけばいい」という着地点になりました。


─ スカッとして、聴いていて気持ちが良かったです。そして、EPの表題曲でもある「交差点」は、具体的な景色がきっかけで書き始めたのでしょうか。それとも、ご自身の状況や誰かとの関係性からでしたか?

この曲を書いた当時、自分自身にすごく自信がなくて。それは今でもそうなんですけど、自分の決めたことに対してどこか疑ってしまうようなところがあったんです。そんな中で渋谷の交差点を渡ったとき、人混みを歩くのが苦手だったはずなのに、最近うまく歩けるようになってきたなと気づいて。でもそれは、自分で人混みを切り分けているというより、前を歩く人の後ろにうまくついて、人を避けているだけなんですよね。そうすればうまく歩けるけれど、その人が行く道にしか行けなくて、自分が本当に行きたかった場所にはたどり着けないと感じて、それが当時の自分の状況と重なったんです。これまで別の事務所に所属していた時期もありましたが、その後一人でやってきたところに、いろいろな方から意見をもらえるようになってきた時期だったんです。音楽的な知識やキャリアがある方々からアドバイスをいただく中で、「私はこっちの方が良いと思うんだけどな」という自分の直感を信じたり、主張したりすることがすごく難しくて。でもそんな自分がダサくて嫌だなと思っていて、そういう想いから書いた曲です。

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─ 今、お話にも出た、“誰かのうしろについて歩けばぶつからずに渡り切れるけど でもそれじゃ辿り着けない未来(あした)へ”というフレーズがすごく印象的でした。嫌な自分の面から一歩踏み出したような歌詞ですが、ご自身の中で変化のきっかけはあったのでしょうか?

何か一つの出来事というよりは、音楽をやっていく中で徐々に変わっていった感じです。ただ、きっかけを挙げるとすれば、東京に出てきたことですね。上京してすぐに今のマネージャーと出会って、一緒にやっていくことになったんですけど、それ以前に所属していた前の事務所では、「あなたは声しか良いところがない」というようなことを言われ、見た目も、「守りたくなるような女の子に見えるように」と言われていて、ハーフアップにして、白くてふわふわした服を着て、「声は張らないで」と言われ続けていたのが、呪いのようになっていたんです。


─ 呪いって!(笑)

でも本当に当初は囁くようにしか歌えなかったんですよ(笑)。ただ、今のマネージャーと一緒にやっていくことになって、最初に「もっと感情を込めて歌ってみたらどうかな」と言われて、私が本来やりたかったのってこっちだったよなと気づいたんです。YUIさんが好きで音楽を始めたんですけど、彼女も感情をむき出しにして歌っているし、そういうのが好きだったはずだと。いびつでも、その人が作った跡が見えるような音楽が好きだし、そういうのってその人にしか書けない音楽だと思って、そこから自分を隠さずに曲を書くことが目標になったんです。ライブでも自分の本質をもっとみんなに観てもらおうと考え、無意識に取り繕ってしまう自分に気づいてはやめる、ということを2年半かけて繰り返しながら、少しずつ変わっていった感じです。


─ 呪縛から解き放たれたんですね。

今のマネージャーに出会えて本当にラッキーでした。


─ では曲の話に戻りますが、「交差点」のイントロのノイズや、逆回転のようなサウンドのアイデアは、大東さんが考えられたのですか? それともサウンドプロデュースのトオミヨウさんでしょうか?

トオミさんです。トオミさんが本当に素晴らしすぎて!今回の6曲すべてのアレンジを手掛けていただいています。


─ 確かトオミさんとは、前の事務所時代からのお知り合いなんですよね?

そうです!前の事務所の新人開発のプロジェクトでご一緒する予定だったんですけど、プロジェクト自体が流れてしまって。でも諦めきれずに「トオミさんとやりたい!」って、しつこく(笑)言い続けていたら実現しました。トオミさんの素晴らしいところは、今ある音源のことだけでなく、「大東まみというアーティストがこれからどう広がっていくか」を見据えて曲ごとのアレンジを考えてくださる点なんです。本当に愛情を感じます。例えば「交差点」も、もともと弾き語りではアウトロがあったんですけど、アレンジではラストの「確かめにいく〜♪」の余韻のまま終わっていて。その方が「これから確かめに行くぞ」という前進感が出ると考えてくださったり、深く噛み砕いて作ってくださっているのを感じます。


─ この曲のサウンド面での聴きどころは、どんなところでしょうか?

華やかなだけじゃないところですね。ストリングスが入ってスケールが大きくなったと思ったら、アコギと声だけの孤独感に急に引き戻されたり。最小限の音数でありながら、聴き応えのあるアレンジになっています。カルテットのストリングスレコーディングにも立ち会わせていただいたんですけど、最初に4人で合わせた音を聴いたときは、涙が出るくらい良くて。すごく気に入っています。


─ トオミさんと意見が分かれることはありましたか?

基本的にないですね。最初に大まかにイメージを伝えることもあれば、完全にお任せなこともあるのですが、毎回トオミさんの作ってくださるものが好きすぎて、すごい!それもいい!ってなってしまうんです(笑)。勿論最後のミックスチェックで細かいバランスについて相談することはありますが、アレンジの大枠で意見がぶつかることはありませんでした。


─ ご自身の歌入れで、綺麗に歌えたテイクと、感情が乗ったテイクのどちらを選ぶか、迷うことはありましたか?

私は客観視があまり得意ではなくて、突き詰めると無限ループに入ってしまうタイプなんです(苦笑)。なので、レコーディングはそのループに入らずに終えられるよう、当日までに自分の中の正解を決めて、練習を重ねて臨みます。何回か歌ったあとは、トオミさんにテイクの選別をお任せしています。


─ 10月7日にはEPがリリースされ、ライブシリーズ「交差点」のVol.6とVol.7が、大阪と東京でワンマンライブとして開催されます。最後に意気込みをお願いします。

大阪に関しては約1年半ぶりのワンマンライブになるので、関西の皆さんに会えるのがとても楽しみです。メジャーデビュー後初のワンマンライブになりますし、歌い始めてから9年半ほど経ちますので、これまでの大東まみをしっかりとお見せできるステージにしたいと思っています。


─ ありがとうございました!


Interview&Photo by 秋山雅美(@ps_masayan)


■ 大東まみ Official Website
https://www.office-augusta.com/daitomami/

 

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