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大橋トリオをして「彼女たちの世界観の中の住人になりたい」と言わしめた『Kitri(キトリ)』の世界観。

大橋トリオをして「彼女たちの世界観の中の住人になりたい」と言わしめた『Kitri(キトリ)』の世界観。

February 14, 2019 18:00

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「彼女たちの世界観の中の住人になりたいです僕は。これは是非聴いてほしい!」

プロデュースを担当した大橋トリオにそう言わしめたのは姉妹のピアノ連弾ユニットKitri(キトリ)。2015年から 姉妹ユニット「キトリイフ」として活動。2016年、自主制作盤音源を聴いた大橋トリオが絶賛。大橋トリオが手掛ていた、映画「PとJK」(廣木隆一監督、亀梨和也・土屋太鳳主演)の劇伴音楽に、テーマ曲のボーカルとハミングで参加する。

「大事なお仕事に参加させて頂くのが私達でいいのかなと、ただただ驚きました。それと同時に、全く音楽のお仕事の経験が無い私達にそのようなチャンスを与えて下さっていることに感激しました。精一杯、今できることを準備しようと意気込んでいたことを覚えています。」二人は当時をそう振り返った。

姉妹ユニットを組むきっかけはクラシック曲の連弾で息を合わせる楽しさを知った幼少期まで遡る。大人になった今でも、いつもその記憶が心のどこかにあったこと。この「連弾」という少し変わったスタイルについて姉のモナは「音楽で生きていきたいと思っていたのですが、ピアノも歌も、上手な人はいくらでもいて、ソロで素敵に弾き語る人もたくさんいる…。そう思った時にふと、過去の連弾を思い出しました。歌いながら連弾をする人はまだあまりいないのではないかと思ったことが、このスタイルになったきっかけです。」と語る。

Kitri_Portrait20190214.jpgちなみにモナ(自画像 左)は作詞作曲、歌、ピアノ Secondo(低音部)を担当。妹のヒナ(右)は ピアノ Primo(高音部)のほか、ギター、パーカッション、コーラスを担当している。モナにより描かれたこのセルフポートレートについては「 絵をじっくりと見た人だけが気づくような仕掛けや秘密を取り入れたいと思いました。自分の見ている景色や常識は、もしかしたらただの思い込みかもしれない、と感じることがあります。なるべく色々なことに捉われずに、視野を広げて常に新たなことへ挑戦していきたいというメッセージも込めました。」とコメント。更に二人の構想を元に作られたジャケットデザインに描かれた二人の女性については「 何かに諦めているようで、前へ進もうと密かな情熱や希望を持っているようにも見えて、このジャケットからは色々な物語を想像できてとても気に入っています。」とコメントしてくれた。

ユニット名を「キトリイフ」から「Kitri」に変えたのは2017年。同年、過去音源を大橋トリオプロデュースにより再録音したパイロット盤『Opus 0』が完成。試験的にストリーミング配信をしたところ反響を呼び、自主音源にしてラジオ出演のスタジオ演奏披露など話題を呼んだ。そして満を持して今年1月23日に『Primo』でメジャーデビュー。勿論今回もプロデューサーは大橋トリオ。実は二人がもっとも影響を受けたアーティストが大橋トリオなのだ。

「芯の通った方だなという印象があります。音楽において、何が良くて何が良くないか、何が足りていて何が足りないか、いつも明確に捉えてご自身の考えを持ってらっしゃいます。お話しされる言葉も、一言一言大切に選んで、思っていることを話して下さる印象があります。そして、気取らない素敵な方だなとも感じます。レコーディングの時も、私達が緊張しないように、まず大橋トリオさんがリラックスして居て下さいます。人としてもとても尊敬できる方です。」二人は大橋トリオについてそう語る。『Opus 0』も『Primo』も大橋トリオは全ての音作りに関わり、アドバイスをしながらレコーディングは進んだ。唯一違う点はボーカルレコーディング。 今回はよりリラックスして歌えるようにと、二人の声に合うマイクを選び、歌だけは二人で自宅録音している。

作詞作曲を担当するモナは、大橋トリオの他にクラシック音楽のピアノ曲に影響を受けており、その魅力について「 同じ楽器なのに、作曲家によってまるで違う楽器のように変幻自在に音が変わる点が、興味深かったです。」と述べる。クラシック音楽を通じて知ったフレーズや伴奏、メロディー、曲調、その他様々な要素において影響を受けているモナが紡ぐの『Primo』のリードトラック「羅針鳥」は、憂いを帯びながらも光を感じるドラマティックなサウンドで、特にピアノの婉麗さは時間を忘れ聴き入ってしまう。

一年前の冬に出来たこの曲は、今後に不安や期待が入り混じりながらデビューできるようにこれから二人で頑張ろうと決意した時期でもあった。彼女たちの状況や思いも重ねながら、力強く前へ進む世界観を描いたこの曲は大橋トリオのサポートドラマーでもある神谷洵平氏(赤い靴)がアレンジを担当。その他サウンド面では、ゴンドウトモヒコ氏のユーフォニアムやフリューゲルホルンの音色なども入っている。

「新しいのに懐かしいような、新鮮な曲の世界を作り上げて下さっています。そして、大橋トリオさんのアイデアで、この曲のみアップライトピアノで演奏しているので、独特のピアノの音色にも注目して聴いて頂きたいです。」この曲の聴きどころについて二人はそう語ってくれた。また、ミュージックビデオ(以下:MV)は「rhythm(リズム)」、「細胞のダンス」なども手がけ、最近ではビッケブランカのMVも手がける中澤太氏が監督を務め、ionaとNAGOMIによるダンスシーンも独自の世界観を醸し出している。

最後に今後ライヴをしてみたい場所を訊いてみると、「美術館でライブをしてみたいです。美術館は静かなイメージがあるので、その静けさの中で、空間の響きを利用して、ピアノを弾いたり二人で声を重ねたりしてみたいです。」と教えてくれた。独創的でありながら、すでにラジオなどで何度となく「羅針鳥」を耳にし、その注目度の高さも伺える。

懐かしさと美しさが調和するKitriの世界観を是非楽しんでもらいたい。


■ 日本コロムビア 特設サイト
https://columbia.jp/kitri/

■ ディケイド
http://www.kitriofficial.com/

Apple Music

YouTube

リリース情報

Kitri 1st EP
「Primo」

2019年1月23日発売

-収録曲-

1. 羅針鳥
2. 細胞のダンス
3. sion
4. 一新
5. 羅針鳥-naked- *ピアノ伴奏バージョン

Primo

CD

COCB-54280 / 1,800円 +税

インフォメーション

[星のかなで2019]MUSIC,CRAFT,FOOD FES.

2019/4/28(sun)
10:00 - 20:00
会場:枚方市ニッペパーク岡東中央(前「岡東中央公園」)
京阪電車「枚方市駅」南口より徒歩3分
雨天決行

入場料無料
LIVEチケット料金:¥3,500- (当日券 ¥4,500・中学生以下無料)
 

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