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POPSCENE

between popular culture and counterculture

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Nozomi Nobody

14_呼吸する以外

ツアーの合間にしていることといえば、
その①、キッチンとお風呂場の掃除。なぜだか無性に掃除欲が掻き立てられて、関西に発つ直前と戻ってからすぐと、せっせとシンクやタイルを磨いた。一度スイッチが入ると徹底的にやらないと気が済まないタチ(何事も)。ぴかぴかになると心底気持ちがいい。
その②、料理。料理は全くしなそうと言われたり、すごく上手そうと言われたりするけど、何てことはない、「普通」。私や私の部屋に来る親しい人たちが美味しく食べられる程度のものは作れる。凝ったものは作らないけどそれで十分だと思う。だけど料理は割と好き、全然苦じゃない。食べることが好きだから「食」というものに興味関心があるし、食べたいものをあれこれ思い浮かべたり、栄養や彩のバランスを考えたりするのは楽しい。あとキッチンという場所に立っているのが心地いい。自分で作ったものを自分で美味しく食べられるというのはけっこう幸せなことだなと思う。
その③、家族団欒。姉の運転する車で千葉に住む祖母に会いに行ったり、私(10月生まれ)や母(11月生まれ)の誕生日会をしたり。祖母は私たち姉妹と並んでテーブルに座って「長く生きているとこんなことがあるのね」とそれはそれは喜んでくれた(数ヶ月に一度くらいの頻度では会っているのに)。私の誕生日のお祝いは、お店を選んでいい(正確には「指定して」)と言われたので、目黒にあるフレンチに連れて行ってもらった。都内で私が1番か2番目に好きなお店。父もそのお店をとても気に入って「良い店だ、良い店だ」と喜んでいて、それがなんか良かったな。とてもとても美味しい満たされた時間だった。年々家族のことを好きになるのは大人になっていっている証拠、のような気がする。
 
そんなわけで、つまるところ、生活をしている。
「日常」という言葉は何だか使い古された胡散臭さみたいなものを感じてしまってあまり好きではないのだけど、「日々」、「毎日の暮らし」、「生活」、切っても切り離せないそれらの中に在るなぁと思う。
そして、「音楽はどこにあるか」と聞かれたらそれはやっぱり生活の中にあるのだろうと思う。生活の中にあり、出て行くこともあるだろうけど、最後にはまた戻って来る。そこで生まれて、そこに収まる。そういうもののような気がする。
 
レコーディングが終わってから曲作りは全然していない。全くするつもりがなくて、スイッチはずっと切ったままにしてある。今は音楽を聴いてる。そしてそれをなるべく体の中に貯めておいて、ツアーが終わったら沢山曲を作りたい。次の作品のイメージは何となくだけど割とはっきりとある。
あとは共作をいくつか。CIRCUS FESとキャンドルナイトで歌ったEmeraldとの「Night Blue」という曲(とても気に入ってる、信じられないことに1日で出来た)と、あとはお仕事で頂いた制作物。後者は絶賛制作中。来年はいろんな人といろんなことが出来たらいいなぁとか、考えてる。
ツアーファイナルに向けてのリハも着々と。バンド編成でのライブをずっとして来なかったのはひとりでやるべきことがまだまだいくらでもあると思っていたというのと、単純にあまり興味がなかったというのが主な理由だけど、今こうしてようやく誰かと一緒にライブをしたいと思うようになったのはやっぱりひとりで積み重ねてきた時間があったからだと思う。そういうものだと思う。
 
あとは久しぶりに江國香織を読んだり。うちは姉弟3人とも(姉と弟、私は真ん中)江國香織作品が好きなのだけど、一番読んでいないのは私、一番読んでいるのは弟。うちの弟の良いところはそういうところ。江國香織を全作品読んでいる男性なんて最高じゃないか。
それから最近は毎日Phoebe Bridgersを聴いてる。アルバムの中でみんなはMotion Sicknessが好きみたいだけど、私はその次に入ってるFuneralという曲がすごく好き。ものすごく暗い曲だけど。アルバムに入っている絶対シングルにならなそうな地味な曲が大抵いつも好きなんだな。
 
11月も半ばで、ツアーは関西編も終わって(すごくすごくすごく、楽しかった)いよいよ残りも数えるほどになってきた。楽しさや嬉しさの反面、さみしさも少しずつ、じわじわと。
大阪に向かう新幹線の中で、作品を作る度に私は一回死ぬみたいだと、ふと思った。一回死んで、また生まれる。
ツアーが終わって、自分がどんな風になっているか、そのあとに出来る作品はどんなものなのか、そのことにとても興味がある。静かに心が波打つ。
 
生きてるなぁと思う、ささやかに だけど確実に。

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Nozomi Nobody

singer song writer based in Tokyo, Japan
vocal / guitar / loop station
2016.6.15 mini album "We Are Always a Bit Lonely" Release

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